ほんの少しの想像力で、人は優しくなれる。
今日は、先日 ものすごく怒られたことを書きたいと思います。
実は、一か月ほど前の話ですが。全然知らないおばちゃんにものすごい剣幕で怒られてしまいました。
この歳になって、見も知らずの人に思い切り怒られることなんてありませんから、とてもびっくりしました。
でも、それは100%わたしが悪いこと。
その日も、いつもと同じように駅前で、むすめが帰ってくるのを車の中で待っていました。
ほんの少し待つだけなので、いつも車を駅前の広いロータリーの端に寄せて路駐しています。
その日は、そんな車がいつもより多くて並んでいて、ロータリーから外れて道幅が少し狭くなっている所まで続いていました。わたしは、それらの車の一番後ろに付けて停めました。
車を停めるとき、道幅が狭くなっている所に停めるので、わたしが気を付けたことは、他の車が横を通る時に邪魔にならないように、なるべく端っこに寄って停めることでした。
うまく路肩に車を寄せて停めることができたわたしは、少し暑かったので車の窓を数cm開けてからエンジンを切りスマホを取り出し、むすめが電車に乗って帰ってくる数分を待っていました。
と、突然。『バンバンバンバンバンバン!!!』と、ものスゴイ勢いで車のボンネットが叩かれました。
スマホを見ていたわたしがびっくりして顔を上げると、そこにはものすごく怖い顔でこっちを睨みつけているおばちゃんが立っていました。
わたしが顔を上げるとおばちゃんは助手席の方へ回って、「開けろ!」と云わんばかりに窓をドンドン叩きます。
わたしが「開いてます。」と言うと、おばちゃんは窓が開いていることを確認し「ここへ車を停めないで下さい!!」と噛みつかんばかりの勢いで怒鳴られました。
そして、続けて「これを目印に歩いている者もいるんですっ!!」と。。
そうです。わたしは車を停めるとき、他の車の邪魔にならないように端っこへ停めることばかりに気を取られて、そこに点字ブロックがあるのに、そこを跨いで駐車してしまっていたのです。
見ると、そのおばちゃんの後ろには目の不自由な男の方が杖を持って立っておられました。
わたしは恥ずかしさと申し訳なさと、何とも言えない情けない気持ちになって謝りました。車を移動させるとき、窓を全開にしてもう一度謝ると、おばちゃんはうなずいておられました。
そして、その男性の方が点字ブロックを頼りに歩かれるのをサポートしながら行ってしまわれました。
そこに点字ブロックがあることは分かっていました。でも、当たり前のように景色の中に馴染んでしまっていて意識することはありませんでした。
普段、道を歩いていてもそうです。点字ブロックに限らず、そこにあることで不自由されている方が助かるであろうものを、わたしは日常の中で認識することなくスルーしてしまっているのかもしれません。
わが家には【ハッピー!】と【ハッピー!ハッピー♪】という漫画本があります。
目の不自由な人が盲導犬と一緒に暮らし、妻として母として精一杯生きている。強くて逞しくて、そして弱さもあるけれど、それらをひっくるめて一生懸命に生きている。
周りの人たちも 優しさ、厳しさ、正義、そして変わらない愛溢れる眼差しで見守り接し、一緒に生きている。
この本を読むと、自分が気づいていないことに気づけたり、優しい気持ちになれたり、心が洗われて元気も勇気ももらえて、とても好きな本です。
何度も何度も読んでいる本。そして、わたしにいろんなことを教えてくれる本。
それでも 今回のことは、日々の生活の中には活かしきれていない自分を目の当たりにした出来事でした。
活かしきれていないというよりも、まだまだ自分がそうなっていないことに気づけた。
❝活かす❞って言うと、何だか意識して行動してるみたいに聞こえる。
そうではなくて、そういうのは内から滲み出てくるもの。それがまだまだなわたしに気づけました。
普段、自分の日常に暮らしていたら、自分の意識していることしか意識してない。(変な日本語だけど)
自分と全く違う立場や状況の人のことは、考えたり想像したりが精一杯。その人にはなれないんだから、想像するしかない。そうすることで、思いやれたり優しい気持ちになったりすると思う。
わたしは、その想像の部分が欠けて、今回のことを招いてしまいました。
人間は誰でも何かしら不自由な部分を持っているんじゃないのかな。大きい小さいはあるけれど、そして、その時どきで立場も変わるけれど、何かしらの不自由を感じながら暮らしているのかもしれません。
障がいを持っておられる方、お年寄り、妊婦さん、病気や怪我で不自由を余儀なくされている方。乳幼児を抱えるお母さん。いろんな人が大小様々な不自由を抱えておられて、そんな方たちが暮らしやすかったり優しい社会は、結局は誰にでも全てに優しく暮らしやすいということに繋がるんですね。
わたしが、点字ブロックをまたいで駐車したことは、全く以って想像力に欠ける行為でした。
あのおばちゃんが、あんなに怒られたのは、そういう場面に何度も遭遇されたからかもしれません。
人って、ほんの少しの想像力があれば、とても優しくなれるんだなぁ。。と改めて感じました。これは、日々の暮らしの中でもそうかもしれません。
相手があって、人の間で生きて暮らしているわたしたち。家族であってもそう。
親のこと、子どものこと、旦那さんのこと、奥さんのこと。それぞれが、ほんのちょっと相手の立場になって想像してみたら、分かりあえることっていっぱいあるのかも。
想像力、侮れませんね。
わたしも、もちろん点字ブロックをまたいで駐車することはなくなりましたし、それ以外でも一呼吸おいて確認するようになりました。
漫画を読んでいるだけではできない貴重な実体験をさせてもらったと思っています。